多嚢胞性卵巣症候群とは
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵巣で通常より多くの男性ホルモンが分泌されることによって卵胞(卵子を育てる袋)の成熟に時間がかかり、排卵しにくくなる病気です1。
多嚢胞性卵巣症候群における太るメカニズムは
エストロゲンの減少:
- エストロゲンは卵巣や子宮の発達を促すホルモンであり、脂肪代謝を上げて内臓脂肪を減少させる働きがあります。
- エストロゲンが減ると、内臓脂肪を蓄積する「アセトアルデヒド脱水素酵素1」が活性化し、内臓脂肪が増えやすくなります。
レプチンとグレリンのバランスの乱れ:
- エストロゲンが減ると、痩せるホルモンである「レプチン」の分泌が減少します。
- 同時に「空腹ホルモン」とも言われる「グレリン」が増加し、食欲がアップして太りやすくなります。
男性ホルモンの増加:
- 多嚢胞性卵巣症候群では男性ホルモンが増えることがあります。
- 男性ホルモンはにきびを増やす、毛深くなる、体重が増えるなどの症状を引き起こす可能性があります。
治療では、症状や妊娠の希望に応じて生活指導や薬物治療が行われます。
月経周期が不規則になった場合は、婦人科の病院を受診することをお勧めします1。
多嚢胞性卵巣症候群は複雑な疾患であり、適切な管理が求められます。
女性ホルモンはの乱れで太る、どのように乱れたら太るのでしょうか?
女性ホルモンというのは、基本的にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2つの事を指します。
エストロゲンが減ると太る
エストロゲンは別名「卵胞ホルモン」といって卵巣や子宮の発達を促すホルモンです。他にもバストを膨らませる、ヒップに丸みを出す、などで女性らしい体を作るホルモンとも言われています。
エストロゲンはさらに脂肪代謝を上げて内臓脂肪を減少させる働きがあります。また満腹中枢を刺激して食欲を抑える「レプチン」という満腹ホルモンの分泌を調整する働きがあります。レプチンは、割と最近話題になってきたホルモンで、脳の視床下部に作用して満腹だよ、というサインを送ることで食べすぎを防止してくれます。このためレプチンは、別名「痩せるホルモン」とも言われています。
エストロゲンが減ると、「痩せるホルモン」のレプチンが減ってしまいます。そして真逆の「空腹ホルモン」とも言われるグレリン
が増加することで、食欲がアップし、結果、太ってしまいます。またエストロゲンが減ると内臓脂肪を蓄積する「アセトアルデヒド脱水素酵素1(Aldh1a1)」が活性化することで、内臓脂肪が増えやすくなる、とも言われています。
では、エストロゲンが分泌されまくっていれば痩せるのか?そうでもない、と言われています。エストロゲンが出過ぎても太るエストロゲンには細胞を増殖させる働きがあります。
このためエストロゲンが増えすぎると癌などが起きやすくなる、と言われています。
そして、多すぎるエストロゲンは脂肪細胞も増やしてしまいます。その増える脂肪細胞ですが、この脂肪細胞にはエストロゲンを
プロゲステロンの不足を引き起こします。プロゲステロンが少なくエストロゲンが多すぎると月経周期が乱れたり乳癌・子宮内膜癌のリスクが高まったり、難産・流産のリスクも高まる、と言われています。
プロゲステロンが出過ぎても、太るプロゲステロンは、卵巣の黄体から分泌されるので別名「黄体ホルモン」とも呼ばれます。
プロゲステロンは「ステロイドホルモン」の1種類でもあります。排卵日移行で基礎体温が上がったり(高温期)、
妊娠が成立した際に基礎体温が高いまま維持されるのはプロゲステロンの作用によります。プロゲステロンが脳の体温中枢に作用し、体温を上昇させていると言われています。他にもエストロゲンと共に
色々な作用を持っています。では、これも多ければ良いのか?といえばそうではありません。プロゲステロンには
妊娠に備えて水分や脂肪を溜め込もうとする働きがありますこのため、プロゲステロンの分泌が増えると「むくみ」や体重増加が起こります。また大腸の蠕動運動も低下し便秘となります。
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2024年4月29日 | カテゴリー:生活習慣病, 糖尿病, 内分泌疾患・ホルモン異常 |