大腸について
大腸の機能
大腸の主要な機能は食物の難消化性成分、いわゆる食物繊維の発酵と水分および塩分の吸収である[3]。大腸が分泌するアルカリ性の大腸液には消化酵素が含まれず、これは粘液として大腸壁の保護や内容物の輸送を促す作用を担う[1]。その代わり、大腸内での物質の分解は大腸菌を始めとする常在菌が行う。これらは発酵作用を通じて物質を吸収可能な電解質まで変換させる。その過程で酪酸や酢酸またメタンなどのガスが生じる。またアミノ酸の分解においてアミン類のインドールやスカトールなども生じ、これらが排泄物の臭いの一因となる[1]。
小腸では栄養素を吸収しても、小腸組織の代謝には流用されずに即座に門脈によって運び去られ、小腸自体の組織は動脈血によって供給される栄養素によって養われる。
大腸の組織(大腸上皮細胞)の代謝にはこの発酵で生成されて吸収された短鎖脂肪酸が主要なエネルギー源として直接利用され、さらに余剰部分が全身の組織のエネルギー源として利用される。短鎖脂肪酸のうち酪酸は結腸細胞に優先的にエネルギー源として利用される[4]。ウマなどの草食動物ではこの大腸で生成された短鎖脂肪酸が主要なエネルギー源になっているが、ヒトでも低カロリーで食物繊維の豊富な食生活を送っている場合にはこの大腸での発酵で生成された短鎖脂肪酸が重要なエネルギー源となっている[5]。また、腸内細菌の活動によって産生されるビタミンがあることも知られている[6][7]。
吸収された発酵産物や水分は門脈を経由して肝臓で処理されるが、直腸下部の静脈は門脈を経由しないので肝臓での処理を免れ、直接下大静脈に注いで全身を巡る。坐薬が早くよく効くのはこのためであり、経口投与に難がある薬剤の投与にも用いられる[1]。
大腸に係わるおもな疾患
2024年9月30日 | カテゴリー:肝疾患すい臓疾患 |