NfKB変異による肝がん発症の可能性について
細胞の酸化ストレスは様々な原因で起きますが、共通経路として存在するのが酸化ストレスによるDNA損傷です。これは心不全の終末像でも見られます。心筋細胞は腫瘍化するためのマシナリ-が存在しないために癌化ではなく変性という細胞終末像を呈します。その意味では認知症のある群も同様に理解できるかもしれません。高エネルギ-の過剰電子を抱えた物質、ROSもそのうちの一つで、もともとある安定的なσ結合でも切断の能力があります。DNAにおいては配列特異的ではなく、MYCやAP1がもともと働いでいてヌクレオソームから遊離いているDNAが切断されやすくHOTSPOTとして認識されています。問題は修復機構がうまく働いていない状態では転座などが起こりやすいことです。
NFKBは酸化ストレスで発現が多く、さらに小胞体ストレスでのアミノ酸付加反応の忠実性の低下から切断されたDNAを配列特異的ではなく無秩序に修復してしまい発がんの
要件を満たすことになります。C型肝炎ウイルスによる小胞体ストレスも同じ機序かもしれません。
2024年6月10日 | カテゴリー:各種治療学, 癌の病態生理と治療学, 肝疾患すい臓疾患 |