タンパク質の翻訳後修飾
タンパク質の翻訳後修飾
転写、翻訳しただけでは、タンパク質は完成していない。
その後、タンパク質が完成して機能するまでに下のようなことが起きます。
ジスルフィド結合を形成する
立体構造(二次構造、三次構造)の形成
種々アミノ酸側鎖に対する化学修飾(糖鎖付加、アセチル化、リン酸化、脂質付加)
ペプチドの部分的切除
複合体形成(四次構造)
膜への結合
細胞外への分泌、あるいは特定の細胞内小器官への運搬
これらさまざまな過程を経て、タンパク質が機能できるようになる。
これらの過程のうち、タンパク質の化学構造を変化させる反応を、翻訳後修飾とよびます。
タンパク質立体構造の構築
タンパク質のジスルフィド結合(SS 結合)
の Cys 残基の組合せは、自然に決っている場
合もあるが、一旦別の組合せで結合して変性
したタンパクを、戻すのは大変。
シャペロン(chaperon)---- タンパク質
が本来の折りたたみ構造・立体構造を維持す
るように保護する役目のタンパク質
たとえば熱刺激があったとき → タンパク質が熱変性する → シャペロンが作られる
→ タンパク質の構造維持能力を高め、細胞が死なないようにする
特別な刺激の無いときでも、常には働いているシャペロンもある。
・ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)----誤った SS 結合を切断し、繋ぎ換える酵素
細胞内タンパク質分解機構---------プロテアソーム
誤った折りたたみ構造のタンパク質を選択的に分解するしくみ。(不良品の除去)
① 構造異常のタンパク質をユビキチン化。ユビキチンは、アミノ酸 76 個からなるタンパ
ク質。分解すべきタンパク質のリシン残基のアミノ基に結合する。
② ポリユビキチン化されたタンパク質は、プロテアソームによって分解される。プロテア
ソームは、ATP 依存的にタンパク分解する酵素複合体。
タンパク質の翻訳後修飾
・糖鎖付加
N-糖鎖 ----- Asn 残基のアミド
末端の N 原子に糖が結合
O-糖鎖 ----- Ser 残基、Thr 残
基の水酸基の O 原子に糖が結
合
分泌タンパク質、細胞表面の膜タ
ンパク質のほとんどに糖鎖が付
加されている。
(細胞内のタンパク質には糖鎖
の付加は稀である)
・糖鎖付加とタンパク質の輸送
糖鎖付加はゴルジ体で行われる。これは、
分泌タンパク質が細胞内輸送される一連の流
れの一段階である。
① 粗面小胞体でタンパク合成
② 合成されつつあるタンパク質が小胞体内
腔に入りながら、タンパク合成が進む
③ 合成されたタンパク質は小胞体膜の一部
に包まれ、小胞として小胞体から離れる
④ 小胞がゴルジ体に融合し、中身のタンパ
ク質がゴルジ体内腔に入る
⑤ ゴルジ体でタンパク質の糖鎖付加が行わ
れる
⑥ 修飾されたタンパク質はゴルジ体膜の一
部に包まれ、分泌小胞となる
⑥ 分泌小胞は、細胞膜に融合し、エキソサ
イトーシスが起こる
(タンパク質の糖鎖付加は、一部が小胞体で、
行われるが、さらにゴルジ体で進行する。)
細胞外タンパク質の輸送 分泌タンパク質がどのようにして膜を通過する
分泌タンパク質・細胞表面のタンパク質の N末には、
シグナル配列と呼ばれる特定のアミノ酸配列が組み
込まれている。
シグナル配列は小胞体膜を通過した後、シグナルペ
プチダーゼにより切断される。
粗面小胞体で小胞体内腔に入ったタンパク質は、
小胞輸送系で移動している間も管腔側に存在し、分泌
小胞が細胞膜に融合したときには、そのままで細胞外
側に位置することになる。
タンパク質の脂質による修飾と膜への移行
★ 脂質部分が修飾されることによって、そのタンパク質は細胞膜の内側に結合する
GPI アンカーによる修飾
★細胞表面の脂質に結合し、鎖で
つながって細胞表面から浮いたよ
うな状態にな
2024年4月6日 | カテゴリー:AUTODOCK VINA , 生活習慣病 |