メチオニンアミノペプチダーゼについて
2025年 | プレスリリース・研究成果
筋肉は正常なタンパク質分解によって維持されている ペプチド分解酵素のタンパク質品質管理機能を発見
【本学研究者情報】
〇産学連携機構イノベーション戦略推進センター 特任教授 永富良一
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【発表のポイント】
- 筋細胞においてタンパク質が分解されるにあたっては、多くのペプチド分解酵素(注1)が働きます。
- ペプチド分解酵素の一種、メチオニンアミノペプチダーゼ(MetAPs) (注2) が筋細胞におけるタンパク質の品質管理を行っていることを明らかにしました。
- MetAPsの機能を阻害すると、タンパク質翻訳(注3)の異常や小胞体ストレス(注4)を起こしてタンパク質の品質が劣化し、細胞増殖能力に深刻な影響が及ぶことがわかりました。
- 骨格筋の減少を伴う筋肉減少症サルコペニア(注5)など、運動機能低下への効果的な対策につながることが期待される成果です。
【概要】
骨格筋は日常生活や運動を司る人体最大の組織です。骨格筋の維持には筋細胞を構成するタンパク質の合成と分解のバランスが重要であり、タンパク質分解にはさまざまなペプチド分解酵素が働きます。ペプチド分解酵素はタンパク質の分解だけでなく、さまざまな細胞の調節機能を担っているとされていますが、その機能の全容については十分に解明されていません。
東北大学産学連携機構イノベーション戦略推進センターの永富良一特任教授、国士舘大学大学院救急システム研究科の長名シオン講師らの研究グループは、細胞内におけるペプチド分解酵素の一つであるメチオニンアミノペプチダーゼ(MetAPs)が、タンパク質分解を通じて骨格筋細胞のタンパク質の品質管理を行っていることを発見しました。タンパク質の品質劣化は小胞体ストレスにつながり、細胞の増殖を抑制することがわかりました。今後、他のタンパク質分解酵素の細胞周期や形態形成の制御も含めて骨格筋量の調節機構の全体像をとらえることで、主に加齢などによって生じる筋肉減少症(サルコペニア)などの運動機能低下に対する効果的な対策につながることが期待されます。
本研究成果は、2025年1月13日細胞ダイナミクスに関する専門誌Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Molecular Cell Research (電子版)に掲載されました。
2025年1月31日 | カテゴリー:生活習慣病 |