クッシング症候群について
クッシング症候群は、コルチゾールが過剰に分泌されることで起こる病気です。
症状としては、体重が増加したり、顔が丸くなったりするほか、血糖値や血圧の上昇などの症状もあります。
コルチゾール値が正常ではないにも関わらず身体的特徴があらわれないこともあります。
そういった場合は「サブクリニカルクッシング症候群」と診断されます。
中心性肥満
中心性肥満とは、手足は痩せているのに、顔や体幹(胴体部分)が太っている状態のことです。
この中心性肥満は、クッシング症候群の特徴的な症状の一つです。
「手足はやせるのにお腹周りに脂肪がつく」あるいは「食事量は変わらないのに体重が増えてきた」という場合は、クッシング症候群を疑います。
満月様顔貌
満月様顔貌とは、顔が満月のように丸みを帯びる状態のことで「ムーンフェイス」とも呼ばれています。
満月様顔貌はクッシング症候群の特徴の一つですが、副腎皮質ステロイドの副作用も考えられます。
野牛肩
野牛肩とは、文字通り、水牛の体のように、首から肩にかけての背中の上部に、特徴的な脂肪がつく症状のことです。
野牛肩は「水牛様肩」「バッファローハンプ」ともいわれ、症状が進むと、脂肪が大きなこぶ状になってしまうこともあります。
満月様顔貌と同様に、副腎皮質ステロイドの長期服用によっても発症します。
皮膚菲薄化
皮膚菲薄化とは、皮膚が薄くなる症状です。
皮膚が薄くなることで、乾燥しやすくなり、ちょっとした刺激でも肌がヒリヒリしたり、炎症を起こしたりすることがあります。
クッシング症候群の特徴の症状の一つですが、加齢によるものや女性ホルモンの低下なども、皮膚菲薄化の原因の一つと考えられます。
腹部赤色皮膚線
腹部赤色皮膚線状とは、一般的に「肉割れ」と言われる皮膚の亀裂のことで、女性が妊娠の際に出来るものは「妊娠線」と呼ばれます。急激に筋肉や脂肪がつくと、表皮は伸びることができても、その下の真皮や皮下組織の一部が伸びにくいために亀裂が生じます。これによって生じるのが、皮膚に線状の筋が入る腹部赤色皮膚線状です。
近位筋の筋力低下
近位筋とは、肩から二の腕にかけた上腕筋や腰回りから太ももにかけた大腿などの体幹に近い筋肉のことで、疾患により、筋力が低下することがあります。
疾患による筋力低下の原因は、筋肉自体に障害が出る筋原性と神経細胞などが変形することで起こる神経原性に分けられますが、近位筋の筋力低下は、筋原性に多いと考えられています。
近位筋の筋力低下は、クッシング症候群の症状の一つですが、筋ジストロフィーや多発性筋炎、神経性筋萎縮症、髄膜炎、ギラン・バレー症候群などの疾患の場合にも症状があらわれます。
クッシング症候群の原因別分類
クッシング症候群は「副腎性クッシング症候群」「ACTH性クッシング症候」「薬性クッシング症候群」に分けられます。
「副腎性クッシング症候群」は、副腎の腫瘍などが原因とされており、一方「ACTH性クッシング症候」は、下垂体腫瘍などにより、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を過剰に分泌することにより発症します。
副腎性クッシング症候群(全体の50%)
クッシング症候群の主な原因は、副腎腫瘍であると考えられています。
副腎性クッシング症候群とは、こうした副腎腫瘍などにより、コルチゾールの作用が過剰となり、発症するものを指します。
ACTH性クッシング症候群(全体の40%):腫瘍性と自己免疫性がある
薬剤性クッシング症候群は、コルチゾールと同様の作用をもつ薬剤を使用することで発症するものです。
コルチゾール合成阻害剤
メチラポン (Metopiron):
- 11β-水酸化酵素を阻害することで、コルチゾールの合成を抑制します。
トリスタン (Trilostane):
- 3β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素を阻害し、コルチゾールの合成を妨げます。
不可逆的な作用によりかえってアジソン病になることがあるので慎重投与です
2024年4月29日 | カテゴリー:膠原病, 骨粗鬆症, 内分泌疾患・ホルモン異常, その他 |