paper draft 単球とサロゲートマーカー
生活習慣病患者における末梢血単球数の意義
杉本、池上、田口、財津、中邑、太田
INTRO
現代において、動脈硬化の悪性的進展による終末病態は死因の40%を占めると言っても過言ではあるまい。現代の生活習慣による外的な刺激による細胞生物学的なストレスが動脈病変の主因になっていることにも多くの研究者は異論のないところである。病理学的に動脈硬化病変には単球の浸潤があるとラッセル、ロスが提唱していた。生活習慣病による様々な細胞へのストレスが炎症という病態で動脈硬化につながっている。生活習慣病のなかでも高血糖、高血圧、コレステロール、尿酸、腎不全性の悪液質などは動脈の血管内皮に影響し炎症性の反応や酸化ストレス/小胞体ストレスを起こすことにより血管内皮に接着性の高い単球を誘導する。誘導された単球は接着し中膜に浸潤泡沫化し内皮の脆弱化を来し、血管平滑筋の攣縮を惹起しエベント発生させる。単球の活性化はウイルス感染やアレルギー、自己免疫疾患、慢性の細菌感染でもおこるが、生活習慣病的なストレスも自然免疫の一形態として単球を活性化させる。単球の活性化を数の面から考察するために、イベントとの関係および単球数を目的関数とした説明関数に各種生活習慣病的な因子が統計学的に相関があるかを検討した。
METHOD AND SUBJECT
調査した被験者は、検診によるもの、一般内科外来に来院された例、様々で少なくとも病歴で膠原病、がん、がん治療、アレルギー、血液疾患、明確な細菌およびウイルス感染が時間的に4週以内に罹患していたものを除外した。被験者で薬剤内服があるものは生活習慣病に対する薬剤、腎機能障害、肝機能障害用の薬剤服用者は除外していない。データを解析するうえで3項目以上欠落している個体データ除外し、2項目以下の欠失データは過去の平均が出せるものはその平均値で代用し、平均が取れない個体データは除外した。(データ補完法については別の統計学的な処理をを行い最適化した)解析に用いたデータは、年齢、性別、BMI, 脈拍、収縮期血圧、拡張期血圧、LDL-C(直接法、フリードマン法)、TC, nonHDL, TG, GLU(随時)、Na,K、Cl、BUN、CRE、UA、AST,ALT,LDH、HbA1cである。解析方法としては、イベント発症群と非発症群にクラスを分け、クラス毎の単球数の分布と分布の比較、クラス別の単球数と各データとの単相関と重回帰解析、イベントにおける単球数でのROC曲線解析を行った。イベントは脳梗塞、明らかな一過性脳虚血発作、心筋梗塞、明らかな狭心症、大動脈解離とした。症例のピックアップはイベント総数200例になるまで無作為に過去のデータを男女比が一対一になるように行い、非イベント症例も200例になるようにイベント例の平均年齢と同じになるようにピックアップした。解析計算に入れない症例から、欠失データの補完を単球数を合わせて行った。計算ソフトはRを用いた。
結果
2024年12月3日 | カテゴリー:その他 |