PAI-1について
PAI-1(プラスミノーゲン活性化抑制因子)は、血液や免疫系の組織で発現する非受容体型チロシンキナーゼです。
PAI-1の役割:
- 組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)の活性を消失させ、線溶系を抑制します。プラスミンは、プラスミノーゲンがt-PAにより活性化されて産生される酵素で、フィブリンやフィブリノーゲンを分解する作用を持ちます。
- PAI-1は血管壁内皮細胞および肝臓から放出され、血漿や血小板に存在する線溶阻止因子です。血栓溶解時には、PAI-1がt-PAと複合体を形成してt-PAの活性を消失させ、プラスミン産生を抑制することで線溶を制御しています。
- プラスミンは血栓溶解だけでなく、組織破壊と修復、細胞の移動、血管新生、排卵と着床、動脈硬化などにも関与しています。
関連する疾患:
- 慢性リンパ性白血病(CLL): B細胞の増殖に関与し、CLLに影響を与えます。
- 関節リウマチ(RA): 自己免疫性の疾患であり、関節の炎症を引き起こします。
- アレルギー性疾患: マスト細胞のヒスタミン放出に関与しています。
- 自己免疫性血小板減少症(ITP): 血小板の活性化に影響を与え、ITPの病態に関連しています。