SYK:血液や免疫系の組織で発現する細胞内酵素について
SYK(spleen tyrosine kinase)は、血液や免疫系の組織で発現する非受容体型チロシンキナーゼです。その役割は多岐にわたります。
マスト細胞のヒスタミン放出: SYKはマスト細胞においてヒスタミンの放出に関与しています。ヒスタミンはアレルギー反応や炎症に関連しています。
マクロファージのファゴサイトーシス: SYKはマクロファージにおいて異物の摂取や処理に重要な役割を果たしています。マクロファージは免疫応答において異物を食べて排除する役割を担っています。
B細胞の分化: SYKはB細胞の分化にエッセンシャルな役割を果たしています。B細胞は抗体を産生し、免疫応答に対抗する役割を果たします。
SYKは、いくつかの疾患に関与しています。
慢性リンパ性白血病(CLL): SYKはCLLにおいて重要な役割を果たしています。CLLはB細胞の増殖によって特徴づけられ、SYKはB細胞のシグナル伝達に影響を与えます。
関節リウマチ(RA): RAは自己免疫性の疾患であり、関節の炎症を引き起こします。SYKは免疫細胞の活性化に関与し、RAの発症に影響を与える可能性があります。
アレルギー性疾患: SYKはマスト細胞のヒスタミン放出に関与しており、アレルギー反応に影響を与えます。
自己免疫性血小板減少症(ITP): ITPは血小板の減少によって特徴づけられます。SYKは血小板の活性化に関与し、ITPの病態に影響を与える可能性があります。
これらの疾患においてSYKの阻害剤が治療法として研究されています。SYKは免疫系の調節において重要な役割を果たしており、その疾患への関与は広範囲にわたります 。
2024年4月1日 | カテゴリー:新着情報, アレルギー, 関節リウマチ リウマチ外来, 膠原病 |