抗原提示細胞の異常と自己免疫疾患の関係について
抗原提示細胞は、外部から侵入した異物(細菌、ウイルス、アレルゲンなど)を処理しその1部を抗原としてT細胞に提示する役割を担っています。具体的には、抗原タンパク質は抗原提示細胞である樹状細胞によって細胞内へ取り込まれ、主要組織適合抗原(MHC)クラスⅡ分子によって細胞表面に抗原として提示されます。T細胞は、これらのMHCクラスⅡ分子によって提示された抗原をT細胞受容体(TCR)によって認識し、ヘルパーT細胞へと分化します。ヘルパーT細胞のヘルプをうけて、B細胞は強い抗体産生細胞へと分化します。一方、細胞内で産生される抗原タンパク質(例えばウイルスタンパク質等)は、MHCクラスⅠ分子によって細胞表面に抗原提示されます。キラ-T細胞は、これらMHCクラスⅠ分子によって提示された抗原を認識し、細胞を傷害します。このように、獲得免疫の応答は、MHC分子による抗原ペプチドの抗原提示から始まります。自己免疫疾患は、自己分子に対する抗体(自己抗体)等が、自己組織を誤って攻撃してしまうことで生じる疾患です。MHCは、細胞内外のタンパク質が細胞内でペプチドに分解されたものを、細胞表面に輸送してT細胞に抗原として提示することで、免疫応答の中心を担っています。一方で、MHCは自己免疫疾患の感受性を最も強く左右することが知られており、どのように特定のMHCが自己免疫疾患の感受性に関与するかを明らかにすることは、自己免疫疾患の原因や治療法を開発するうえで非常に重要です。
2024年3月22日 | カテゴリー:新着情報, アレルギー性皮膚炎, 花粉症, 関節リウマチ リウマチ外来, 膠原病, 蕁麻疹, 鼻炎 |