全身性強皮症について(指定難病51)
強皮症は皮膚、内臓疾患、血管に線維化を起こす膠原病です。レイノ-症状、皮膚硬化、肺線維症、強皮症腎クリ-ゼ、逆流性食道炎などの症状を引き起こします。難病指定51に挙げられています。治療法:現在のところ、全身性強皮症を完治させる薬剤はありませんが、ある程度の効果を期待できる治療法は開発されつつあります。代表例として(1)ステロイド少量内服(皮膚硬化症)(2)シクロホスファミド(肺線維症)(3)プロトンポンプ阻害薬(逆流性食道炎)(4)プロスタサイクリン(血管病変)(5)ACE阻害剤(強皮クリ-ゼ)(6)エンドセリン受容体拮抗薬(肺高血圧症)などがあげられます。日本の研究班では内臓各臓器ごとの重症度分類を作成し、その重症度に従って、最も適切と考えられる治療の選択を示した全身性強皮症の診療ガイドラインを策定しています。予後:全身性強皮症の経過を予測するとき、典型的な症状を示す「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」と比較的軽症型の「限局皮膚硬化型全身性強皮症」の区別が役に立ちます。「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」では、発症5~6年以内に皮膚硬化の進行及び内臓病変が出現するため、できる限り早期に治療を開始し、内臓病変の合併や進行を出来るだけ抑えることが極めて重要です。一方、「限局皮膚硬化型全身性強皮症」では、その皮膚硬化の進行はなく、あっても極緩徐です。また、肺高血圧症以外重篤な内臓病変を合併することは少ないので、生命予後に関して過度に心配する必要はありません。全身性強皮症では抗セントロメア抗体、抗トポイソメラ-ゼⅠ抗体(SCl-70)、抗U1RNP抗体、抗RNAポリメラ-ゼ抗体などが検出されます。「びまん皮膚硬化型全身性強皮症」では、抗トポイソメラ-ゼⅠ抗体(SCl-70)や抗RNAポリメラ-ゼ抗体が検出され「限局皮膚硬化型全身性強皮症」では、抗セントロメア抗体が陽性になります。