2024/AUG/コロナ情報
5. ゲノム解析の推移
日本国内では 2023 年 初頭から、XBB.1.5 系統、XBB.1.9 系統、XBB.1.16 系統など複数の XBB 系統の亜
系統がゲノム解析された全ウイルスに占める割合を上昇させていたが、2023 年夏にかけて XBB.1.9 系統
の亜系統である EG.5.1 系統が主流となった。
2023 年 7 月にイスラエルとデンマークから初めて報告された BA.2.86 系統がその有する変異の多さか
ら注目された。当初は XBB 系統からの置き換わりは見られなかったが、2023 年 10 月以降は BA.2.86 系
統の亜系統である JN.1 系統が日本を含めた全世界で XBB 系統からの置き換わりを見せ、2024 年初旬に
主流となった。以降世界的に JN.1 系統の亜系統が主流となっている状況が続いている。日本国内では
2024 年 3 月頃に BA.2.86.1 系統と FL.15.1.1 系統の組換え体である XDQ 系統の占める割合が一時的に上
昇したものの、5 月以降は世界的な状況と同様 JN.1 系統の亜系統である KP.3 系統が優位となっている
(2024 年 7 月 3 日現在)
2月9日に更新されたJN.1に関するWHOのリスク評価報告書の概要は以下の通りです。
• 概要:JN.1は、2023年8月に初めて発見されたBA.2.86の子孫系統株で、2024年1月末までに94カ国で79107件のゲノム配列の報告があります。JN.1は現在、全世界で最も多く流行している変異株で、高い免疫回避の能力を持つと考えられています。
• リスク評価:JN.1による感染が急速に増加していますが、重症化のリスクが高い事を証明する報告はありません。現在の集団免疫やXBB.1.5によるブースター接種による免疫は、JN.1に対しても有効であると予想されています。
• 対策:WHOとその技術顧問グループは、JN.1の抗体回避や重症化に関する未知の危険を回避するために、各国に感染防御を優先的に実施することを推奨しています。また、JN.1の影響を考慮して、COVID-19ワクチンの組成を更新する必要があるかどうかを定期的に評価しています。