リウマチ性多発筋痛症について
リウマチ性多発筋痛症(Polymyalgia rheumatica :PMRと略されます)は、発熱とくびの後ろ、肩甲帯部、腰臀部などの筋肉痛と朝のこわばり、身体に力が入りにくい等を特徴的な症状とし、血液でCRP高値、赤沈(血沈)亢進などの炎症反応を認める比較的高齢者に好発と文献的にありますが、熱感腫脹はまれです。現在のところ原因不明な病気です。しかし、全身FDG-PETの進歩により現在では全身性滑液包炎と考えるのが妥当と想定されている。
治療には副腎皮質ステロイドステロイドホルモン(ステロイド)が劇的な効果があります。日本人の場合は、再発・再燃が多いとされています。
また、日本人では欧米人より少ないですが、時に巨細胞性動脈炎(側頭動脈炎)を併発することがあります。
はっきりした病因はわかっていませんが、病気のグループとしてはリウマチ・膠原病に属します。したがって、この病気には地域・人種差が大きいことから遺伝的要因を背景に免疫の異常による急性炎症が病気の成り立ちに重要だろうと考えられています。
この病気の症状は類似の様々な他の病気にも見られること、検査で特にこの病気で特別に認められるものがないことから、診断は簡単ではありません。カルシウムピロリン酸沈着症と鑑別すべきです。
診断は年齢や病気の発現の仕方や症状の内容と炎症所見の存在を示し、赤沈の亢進やCRPの上昇、時には血中MMP-3の治療前の上昇などを参考にして、提案されている診断基準等に照らして行われています。
診断基準としては、Birdらの1979年基準が、かつては用いられていましたが、最近では比較的この病気に特徴的な画像検査として、肩、股関節部のエコー(超音波)検査が取り入れられた欧州リウマチ学会(EULAR)・米国リウマチ学会(ACR)合同による2012年分類予備基準がよく用いられます。しかし、画像的にはRAと似ているため確定診断には同様の症状や炎症所見(赤沈の亢進やCRPの上昇)を呈する関節リウマチなどどの類似の病気を十分に除外する必要があります。
リウマチ性多発筋痛症に巨細胞性動脈炎の併存が疑われる場合は、造影検査を含む各種画像検査(超音波検査、MRI,PET-CT画像など)、眼科、歯科・口腔外科などでの精査も行われますが、最終的に巨細胞性動脈炎の診断の確定に、頭皮の浅側頭動脈の生検が必要なることもあります。
治療はプレドニンが著効するが難治例は少量MTX。しかし保険では認められていない。
2024年5月11日 | カテゴリー:新着情報, 関節リウマチ リウマチ外来, 免疫疾患 |