アジソン病診断基準
<診断基準>
部分的アジソン病を含めて対象とする。
1.自覚症状
①色素沈着: あるいはまれに白班、関節部、手術創、乳輪、手掌の皮溝、歯齦、口腔粘膜、舌、口唇などに
特徴的
②易疲労、脱力感
③体重減少
④消化器症状: 食欲不振、悪心・ 嘔吐、下痢、腹痛
⑤精神症状: 無気力、無関心、不安感
⑥急性副腎皮質不全症状: 全身倦怠感、頭痛、悪心・ 嘔吐、発熱などの非特異的症状に始まり、急速に進
行して意識障害、呼吸困難、ショック
2.他覚症状
①低血圧:起立性低血圧症を来しやすい。
②脱毛、性腺機能低下: 女性では腋毛、恥毛の脱落、月経異常、男性では性欲低下
③低血糖症状
3.検査所見
①内分泌学的検査成績
血漿コルチゾール低値と血漿ACTHの高値を認め、迅速ACTH負荷試験で血漿コルチゾールの増加反応
を認めなければ、本症と診断できる。血漿コルチゾールは正常下限でも、ACTH負荷に対して血漿コルチゾ
ールの反応性が欠如、あるいは低下しているものを部分的アジソン病と呼ぶ。
②末梢血液像: 軽度の貧血や白血球数の減少並びに相対的リンパ球増加及び好酸球増加。
③血清生化学
アルドステロン欠乏による血清ナトリウム、クロールの低下とカリウムの上昇。 血清ナトリウム(mEq/L)/カ
リウム(mEq/L)比が30以下(正常は32)。ときに高カルシウム血症、代謝性アシドーシス、水利尿の低下。
④免疫学的検査
自己免疫機序の関与する特発性アジソン病では、抗副腎抗体を検出することがある。
<重症度分類>
以下の4項目のうち、少なくとも1項目以上を満たすものを対象とする。
1)「血中コルチゾールの低下を認める」
血中コルチゾール基礎値4µg/dL未満
2)「負荷試験への反応性低下」
迅速ACTH負荷(250µg)に対する血中コルチゾールの反応 15µg/dL未満
3)「何らかの副腎不全症状がある」
以下に示すような何らかの副腎不全症状がある。
・特徴的な色素沈着
・半年間で5%以上の体重減少
・低血圧
・脱毛
・低血糖症状
・消化器症状(悪心、嘔吐など)
・精神症状(無気力、嗜眠、不安など)
・関節痛
・過去1年間に急性副腎皮質不全症状に伴う入院歴がある
4)「ステロイドを定期的に補充している者」
※診断基準及び重症度分類の適応における留意事項
1.病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いず
れの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確
認可能なものに限る。)。
2.治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であ
って、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする。
3.なお、症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続す
ることが必要なものについては、医療費助成の対象とする。
2025年3月4日 | カテゴリー:内分泌疾患・ホルモン異常 |