カルシニュ-リン阻害薬について
カルシニューリン阻害薬は、免疫系に影響を及ぼす薬剤の一群で、主に免疫抑制に使用されます。
シクロスポリン (Cyclosporine A: CyA)
- シクロスポリンは土壌真菌が作るポリペプチドで、免疫抑制の中心的な薬剤です。
- 作用機序は、ヘルパーT細胞内のイムノフィリンと結合し、カルシニューリンを抑制することでIL-2の産生や分泌を抑制します。
- 主に移植後の拒絶反応抑制や自己免疫疾患の治療に使用されます
- 維持療法では5mg/kgで使われる
タクロリムス (Tacrolimus: Tac, FK506):
- タクロリムスは筑波で発見されたマクロライド系の免疫抑制剤で、シクロスポリンよりも強力な作用を持ちます。
- 作用機序は、T細胞のカルシニューリンと競合的に結合して活性化を阻害し、T細胞活性化やIL-2などのサイトカイン産生を抑制します。
- 神経免疫疾患などで使用され、日本の保険診療では3mg/日を目標に投与されます。
- RAに適応あり、SLEではル-プス腎炎、皮膚筋炎、合併する間質性肺炎にも使用される副作用:
- 両者に共通する副作用としては、腎機能障害、高血圧症、耐糖能異常、脂質異常症、振戦があります。
- また、血管内皮障害をきたすことがあり、重篤な副作用としてPRES、TMA、神経ベーチェット、強皮症腎クリーゼなどが挙げられます。
- 使い分け:
- シクロスポリンとタクロリムスは基本的な作用機序は同様であり、原病に対する効果は基本的に同等です。
- 使い分ける際には保険診療かどうか、投与量の調整、糖尿病の増悪などを考慮します。
2024年4月14日 | カテゴリー:関節リウマチ リウマチ外来, 膠原病 |