中小血管の脆弱性の検討/文献的に
血管性の要因により四肢に出血斑が散在性に出現すると、原因論が難しくなります。他症状やデータから簡単に区別できるときは問題なく診断できますが多くは診断に苦慮しています。
そこで、文献的に遺伝性の血管脆弱を調べて、それの相似的な特徴から検索する方向性の診断アルゴリズムができれば便利だと考えて少しずつで前進しようとするこころみです
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Most EDS subtypes are caused by mutations in genes encoding the fibrillar collagens type I, III and V, or in genes coding for enzymes involved in the post-translational modification of these collagens. Easy bruising is, to a variable degree, present in all subtypes of EDS, and is because of fragility of the capillaries and the perivascular connective tissues. Vascular fragility affecting medium-sized and large arteries and veins is typically observed in the vascular subtype of EDS, caused by a molecular defect in collagen type III, an important constituent of blood vessel walls and hollow organs.
小型血管に炎症を起こす疾患として抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎、免疫複合体性小型血管炎があります。さらに、ANCA関連血管炎には顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の3つの疾患が、免疫複合体性小型血管炎には抗糸球体基底膜抗体病(抗GBM病)、クリオグロブリン血症性血管炎、IgA血管炎(Henoch-Schönlein紫斑病)、低補体血症性蕁麻疹様血管炎(抗C1q血管炎)がそれぞれ含まれます。これらの疾患以外にも、10種類以上の疾患が知られており、その診断と治療には時間を必要とします(女子医大)
抗GBM病*
グッドパスチャー症候群(グッドパスチャーしょうこうぐん、Goodpasture's syndrome,GPS)は、肺・腎をおかす致死的疾患である。抗基底膜抗体を原因とする自己免疫疾患で、急速進行性糸球体腎炎(RPGN)と肺胞出血をきたし、血痰・喀血・呼吸不全や浮腫・乏尿が症状である。無治療だと90%以上が死亡するきわめて重篤な疾患であるが、血漿交換、免疫抑制剤などを用いたり移植などで持ちこたえた場合、再発することはあまりなくその後の予後は良好である。
1919年、世界的な流行をみていたスペイン風邪について研究中の米国の医学者グッドパスチャー (w:Ernest William Goodpasture) が、血痰を伴う進行性の糸球体腎炎について報告している。これが現在グッドパスチャー症候群として知られる疾患の最初の報告である。検査所見:本疾患に特異的な検査所見として抗糸球体基底膜抗体陽性があり、診断に有用である。尿検査で尿蛋白、血尿がみられる。また、血液検査では小球性低色素性貧血、尿素窒素(BUN)高値、血清クレアチニン高値、CRP高値がみられる。胸部X線、CT検査では肺野に浸潤影が認められる。腎組織病理所見としては、光学顕微鏡所見で分節性あるいは全節性の壊死性病変とそれに反応する半月体形成が、蛍光抗体法では糸球体係蹄壁に沿ってIgGおよびC3の線状沈着が認められる。診断
以下の3つがそろえばグッドパスチャー症候群と診断できる。
- 急速進行性腎炎と肺胞出血
- 血清中の抗GBM抗体陽性
- 光顕で壊死性半月体形成性腎炎、蛍光抗体法で蛍光抗体法では糸球体係蹄壁にIgGの線状沈着。治療
副腎ステロイドを中心とした免疫抑制療法および血漿交換療法を組み合わせた強固な治療が必要である。また、対症療法として末期腎不全に対する透析療法、呼吸不全に対する酸素投与や呼吸管理などが施行される。その他、安静、生活制限、腎機能に応じた食事療法も重要である。予後、厚生労働省進行性腎障害に関する調査研究班RPGN分科会の発足、RPGN診療指針の発行、普及により、日本ではMPO-ANCA型RPGNなどほかのRPGNの予後は改善している。しかしながら本疾患に関しては、腎および生命予後ともにほとんど改善が無く依然として予後不良な疾患であり、疾患知識の普及、診療体制の構築、標準的治療法の徹底、新たな治療法開発へのさらなる努力が必要で
クリオグロブリン血症:
(くりおぐろぶりんけっしょう、Cryo血症、英語:cryoglobulinemia)はクリオグロブリンが血中に増加した状態をクリオグロブリン血症と呼び、Brouet分類基準によりI型〜III型に分類される。II型とIII型のことを混合型クリオグロブリン血症と言う。
主として細動脈レベルに生じる全身性血管炎を生じる疾患で、極めてC型肝炎ウイルスとの関連が強い。
クリオグロブリンは37℃より低い温度で沈殿し、37℃で加温すると再び溶ける性質をもつ免疫グロブリン。クリオグロブリンは3つのタイプに分類される。
- I型:単クローン性免疫グロブリン(10〜15%)
- II型:多クローン性IgGと単クローン性IgM(50〜60%)
- III型:多クローン性IgGと多クローン性IgM(30〜40%)
I型クリオグロブリンを生じる疾患として多発性骨髄腫やマクログロブリン血症など血液疾患、II・III型クリオグロブリンを生じる疾患としてシェーグレン症候群や全身性エリテマトーデスなどの膠原病、悪性リンパ腫などのリンパ増殖性疾患、各種感染症がある。以前は基礎疾患のないものを特に本態性クリオグロブリン血症と呼んでいたが、1989年にC型肝炎ウイルスが同定され大半の症例にC型肝炎ウイルス感染症が関与していることが解った。
原因不明の場合もあるが、以下のような病気が原因で発症することも多い。
血液疾患
- 多発性骨髄腫
- 原発性マクログロブリン血症
- C型肝炎
膠原病
- 関節リウマチ
- SLE
- 悪性腫瘍 など
血管炎が進行するとレイノー症状や慢性腎臓病に至ることがある。
クリオグロブリン血症の治療は、定義されていない。クリオグロブリンの原因、損傷のメカニズム、および症状の重症度を指標に治療を行う。軽度から中等度の症状や、紫斑病や関節痛などの血管炎の徴候を有する患者は、非ステロイド性抗炎症薬、コルヒチン、ダプソンおよび/または短期的なコルチコステロイド、また、患者は低温を避けるようにする。重度血管炎の患者(腎臓、肺、胃腸など)では、高用量のコルチコステロイド、シクロホスファミドおよび血漿交換の組み合わせなどで積極的な治療が望ましい。寛解(一般に3〜6ヶ月後)誘導の後にシクロホスファミドを停止し、アザチオプリンまたはミコフェノール酸モフェチル維持療法を開始し、その後18〜24ヶ月間継続。混合クリオグロブリン血症を示す患者におけるクリオグロブリン負担を軽減するために、迅速な血漿交換は、特に重篤な場合では3日間毎日メチルプレドニゾロンの静脈内投与と併せて行われる。
Brouet分類基準別の治療法をあげる。
ヘノッホ・シェーンライン紫斑病
(ヘノッホ・シェーンラインしはんびょう、Henoch–Schönlein purpura)とは、全身性の小血管炎を主徴とする疾患である。小児に頻繁に発症する。かつては、アナフィラクトイド紫斑病とも呼ばれ[2]、現在ではIgA血管炎(IgAV)と呼ばれる。
紫斑、関節痛、腎炎、消化器症状を主徴とする細小動脈〜毛細血管炎を主徴とし[3]、紫斑、関節炎、糸球体腎炎などの症状を呈する]。小児(4歳から7歳)に多発し、秋から冬に多い。
皮膚やその他の部位の小動脈へのIgAを含有する免疫複合体の沈着と、その結果生じる補体の活性化によりおこる[1]。抗原として考えられているのはA群β溶血連鎖球菌、ウイルス、昆虫咬傷、薬物などである[1][6]。β-溶連菌への感染が原因の30%から50%とされている
主に対症療法である。症状が激しい場合はステロイドを使用する。
- 足にできた紫斑
- 重症例。手と足に紫斑ができている
血液中に抗好中球細胞質抗体(ANCA)と呼ばれる自己抗体(自分の体の構成成分に対する抗体)が出現し、各臓器内の細い血管(細動脈から毛細血管レベル)の炎症をおこす病気がANCA関連血管炎です。2020年度時点で、顕微鏡的多発血管炎10681名、多発血管炎性肉芽腫症3196名、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症5162名の指定難病受給者証所持者が登録されています。
全身症状として発熱,全身倦怠感,食思不振,体重減少,筋痛,関節痛などが出現します。顕微鏡的多発血管炎は60から70歳台、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症は50〜60歳台の発症が多いと言われています。
ANCA関連血管炎の症状の頻度
(%) | 顕微鏡的 多発血管炎 | 多発血管炎性 肉芽腫症 | 好酸球性多発 血管炎性肉芽腫症 |
---|---|---|---|
全身症状 | 67~84 | 58 | 49~68 |
筋肉・関節 | 14~54 | 59~77 | 30~39 |
眼 | 1~15 | 34~61 | 7 |
耳、鼻、のど | 1~20 | 83~99 | 48~77 |
肺 | 25~55 | 66~85 | 51~58 |
心臓 | 3~24 | 8~25 | 16~27 |
消化管 | 3~31 | 6~13 | 22~31 |
腎臓 | 69~100 | 66~77 | 22~27 |
皮膚 | 11~62 | 33~46 | 40~57 |
中枢神経 | 5~12 | 8~11 | 5~14 |
末梢神経 | 13~60 | 15~40 | 51~76 |
Kelly and Firestein’s Textbook of Rheumatology 10th Ed.より引用、一部改変
腎臓はANCA関連血管炎で最も障害されやすい臓器の一つです。初期には自覚症状は少なく、検診で血尿や腎機能低下を指摘され、受診の契機となる場合がしばしばあります。初診時には約半数の患者さんで血尿や蛋白尿が認められます。
皮膚では、下肢に紫斑(圧迫しても色が消退しない小紅斑)が出現し、触ると多少凸凹しています。また、網目状の模様を手足に認めることがあります。神経の血管に炎症がおよぶと、手足のジンジンしたしびれ、痛みを自覚し、スリッパが脱げやすい、転びやすいなどの筋力低下の症状が出現します。
眼や鼻にも症状が出る場合があります。眼の痛み、充血、視力低下、眼球が突出するなどの症状が見られます。耳では、耳閉感、中耳炎、難聴、耳鳴り、めまい、鼻では、副鼻腔炎、鼻閉、臭いのある鼻汁、鼻血、鼻の痛み、鼻の変形などが出現することがあります。
気管支・肺の症状として、から咳、血痰、喀血、ゼーゼーする呼吸音(気管が細くなっている時の音です)、声が嗄れるなどの症状が見られます。腹部(胃腸)の血管に炎症がおよぶと、腹痛、圧痛、下痢、下血などが出現します。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症では、気管支喘息、好酸球性鼻ポリープ、好酸球性中耳炎、好酸球性副鼻腔炎などの既往、合併を認めます。
尿検査、血液検査、画像検査を行います。尿検査では、血尿・蛋白尿・円柱を認めます。血液検査では、貧血、血小板増多、赤沈亢進、CRP・血清クレアチニン上昇、ANCA陽性を認めます。EGPAでは好酸球が著しく増加します。また、単純X線写真、高分解能CT検査、MRI検査、超音波検査などによって、各臓器の病変の有無を調べます。わが国のANCA関連血管炎では肺の病変の出現頻度が高いため、極力、胸部単純レントゲン写真、胸部高分解能CTを撮影して、肺の状態を細かく評価します。
血管炎の診断には、体の組織の一部を取って調べる検査(生検と呼びます)が非常に重要です。腎臓の血管炎が疑われる場合には、腎生検を行い、腎糸球体や尿細管の状態を調べます。皮膚に紫斑などの症状がある場合には、皮膚生検を行い、皮膚および皮下組織の血管の状態を調べます。下肢の痺れや運動障害がある場合には神経生検、筋生検を行い、神経や筋肉の血管の状態を調べます。
さらに、血管炎の症状が出ている臓器の状態を調べる検査(上部・下部消化管内視鏡、呼吸機能検査、気管支鏡検査、神経伝導速度、髄液検査、など)を行う場合があります。
症状と検査結果を組み合わせて、3つのANCA関連血管炎のどの疾患かを診断します。血管炎と類似した症状を呈する疾患が多数あるので、同時にそれらの疾患でないことも確認します。血管炎の診断は、指定難病の診断基準を使用します。診断基準は難病情報センターのウエブサイトでご確認ください
治療は血管炎で障害されている臓器の種類と程度、患者さんの全身状態などを評価した上で、「ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023」(https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00814)を参考に決定します。このガイドラインは、厚生労働省難治性血管炎研究班において当科に在籍された針谷正祥先生らが中心となって作成したもので、どのように治療を選択するかがエビデンスに基づいて記述されています。顕微鏡的多発血管炎/多発血管炎性肉芽腫症の初期治療(寛解導入治療と呼びます)には、副腎皮質ステロイドとエンドキサン®(一般名シクロホスファミド)あるいはリツキサン®(一般名リツキシマブ)を使用します。血管炎の症状、検査の改善をみながら、ステロイドを計画的に減量します。ANCA関連血管炎が寛解(症状・検査が治まること)になったら、リツキサン®またはアザニン®・イムラン®(一般名アザチオプリン)に切り替えて、治療を継続します。リツキサン®を使用した場合は、リツキサン®を6か月ごとに3~4年間繰り返し投与します。ステロイドは出来るだけ少量まで減量し、可能であれば中止します。個々の患者さんの病気の強さ、合併症、既往症などによって、治療内容を調節します。
2022年6月からタブネオス®(一般名アバコパン)が国内でも使用できるようになりました。ANCA関連血管炎では、補体経路のC5aという物質が好中球表面にあるC5a受容体に結合して好中球が活性化されます。タブネオス®はC5a受容体に結合して好中球の活性化を阻害することで、。ANCA関連血管炎の症状・検査所見を改善します。タブネオス®はエンドキサン®あるいはリツキサン®と併用します。また、タブネオス®はステロイドを低用量まで減量、あるいは使用せずにANCA関連血管炎を治療することが可能な薬剤です。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に対しては、抗インターロイキン5抗体であるヌーカラ®(一般名メポリズマブ)が使用可能になり、当科でも多くの患者様が使用しています。病状を安定させ、ステロイドの減量を可能にする薬剤です。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の神経障害にはガンマグロブリン大量静注療法が用いられます。この治療によって、筋力が改善し、一部の患者さんではしびれ感も改善することが示されています。「ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023」(https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00814/)(クイックリファレンスはこちら)は、厚生労働省難治性血管炎研究班において当科に在籍された針谷正祥先生らが中心となって作成したもので、どのように治療を選択するかがエビデンスに基づいて記述されています。
また、厚生労働省難治性血管炎に関する調査研究班が中心となって、「抗リン脂質抗体症候群・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症・結節性多発動脈炎・リウマトイド血管炎の治療の手引き 2020」を作成しました。結節性多発動脈炎に関する詳しい情報が掲載されています。
2024年8月25日 | カテゴリー:各種病因学, 関節リウマチ リウマチ外来, 膠原病 |