ANCA関連血管炎、
好中球/単球の一次顆粒が細胞膜に露出したところにANCAが反応し血管炎が発症する
ACNAは擬陽性も多いため、診断には組織診断が基本であることが重要
壊死性血管炎が基本病態である。
CSSは好酸球増多(気管支喘息)・肉芽腫性病変を伴い、GPAは肉芽腫性
病変を伴うが、好酸球増多はない。MPAは肉芽腫性病
変や好酸球増多はない。また、臓器限局型の病型が知ら
れ、MPAの腎限局型、GPAの耳鼻領域の限局型が本邦
には多い2)。
これまで報告された基準について概説すると、
Chapel Hill Consensus Conference(CHCC)基準
(1994年、2012年)は血管炎の「概念の定義」である。
アメリカリウマチ学会(ACR)の基準(1990年)は典
型的な症例を定義して、合致する症例群を基礎・臨床研
究に使用するための「分類法」である。つまり、個々の
疾患の診断基準ではない。
厚生労働省の基準は臨床の現場での「診断のための基準」であり、特定疾患(難病)
に対する医療給付の目的もあるため、典型的かつ確実な
症例に適応される。これらのさまざまな基準があり、目
的や意義が異なることを理解することが重要である
ANCA関連血管炎(ANCA-associated vasculitis: AAV)は、抗好中球細胞質抗体(好中球/単球のリソソーム一次顆粒に対するIgG抗体)(ANCA)に関連する血管炎で、中・小型血管の壊死性炎症を特徴とします。AAVには以下の3つの主な疾患が含まれます1:
- 顕微鏡的多発血管炎 (MPA): 肉芽腫性病変や好酸球浸潤はみられず、通常、好酸球増多も認められません。
- 多発血管炎性肉芽腫症 (GPA)(旧ウェゲナー肉芽腫症): 肉芽腫性病変を伴うが、好酸球増多はありません。
- 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 (EPGA)(Churg-Strauss症候群またはアレルギー性肉芽腫症): 肉芽腫性病変を伴い、高度の好酸球浸潤が特徴的です。
診断は臨床症状、生検による病理組織所見、および血液検査でのANCAの検出に基づいて行われます
.抗好中球細胞質抗体(ANCA)とANCA関連血管
炎
ANCAは間接蛍光抗体法の蛍光染色パターンによっ
てP(perinuclear)-とC(cytoplasmic)-ANCAに分類さ
れる(図1)。P-ANCAはmyeroperoxidase(MPO)、
エステラーゼ、ラクトフェリン、カテプシンGなどの抗
原、C-ANCAはproteinase 3(PR3)に反応することが
分かり、現在の外注検査では、酵素免疫吸着測定法
(ELISA)によってMPO-ANCA、PR3-ANCAが測定さ
れている
壊死性血管炎が基本病態である。CSSは好酸球増多
(気管支喘息)・肉芽腫性病変を伴い、GPAは肉芽腫性
病変を伴うが、好酸球増多はない。MPAは肉芽腫性病
変や好酸球増多はない。また、臓器限局型の病型が知ら
れ、MPAの腎限局型、GPAの耳鼻領域の限局型が本邦
には多い2)。
これまで報告された基準について概説すると、
Chapel Hill Consensus Conference(CHCC)基準
(1994年、2012年)は血管炎の「概念の定義」である。
アメリカリウマチ学会(ACR)の基準(1990年)は典
型的な症例を定義して、合致する症例群を基礎・臨床研
究に使用するための「分類法」である。つまり、個々の
疾患の診断基準ではない。厚生労働省の基準は臨床の現
場での「診断のための基準」であり、特定疾患(難病)
に対する医療給付の目的もあるため、典型的かつ確実な
症例に適応される。これらのさまざまな基準があり、目
的や意義が異なることを理解することが重要である
鑑別疾患の進め方
1)血管炎に似た症状を呈する疾患
血管炎の診断は、原因不明の全身性疾患を有するあら
ゆる患者で考慮される。発熱、全身倦怠感、関節痛・筋
肉痛の全身症状は多くの疾患を鑑別すべき症状である。
特に1)感染症、2)悪性腫瘍、3)膠原病・リウマチ
疾患、4)代謝疾患・中毒などのさまざまな疾患を鑑別
する必要がある6)。重要なことは、常に血管炎の疑いを
念頭に置くことで、初診でのANCAの測定は心がけて
おくべきと考えられる。総合診療科、リウマチ・膠原病
内科、腎臓内科、呼吸器内科にコンサルトすることが重
要である。
2)ANCA関連血管炎とPANの鑑別
GPA、MPA、EPGA、PANに関しては、2003年に分
類のアルゴリズムが作成された1)。まず、EPGA患者か
否かを判別する(step 1)。次にGPAか否かを、組織学
的定義を用いて判別する(step 2a、b)。さらに、MPA
の組織学定義に一致するとともにGPAのマーカーから
GPAを分類する(step 2c、d)。続いてstep 3、4では
MPAとPANを鑑別するために、CHCCのMPA及び
PANの定義と腎血管炎のマーカー及びANCAを用いて
いる
MPA、RLVのMPOANCA陽性率:97.4%、 PR3ANCA陽性:2.6%
GPA:MPOANCA陽性率54.6%、 PR3ANCA陽性:45.5%
EGPA:MPOANCA陽性:50%、PR3ANCA陽性:0%
ANCA陽性になりうる鑑別疾患
感染性心内膜炎
結核
HIV
EBV
パルボウイルスB19
HBV
HCV
アスペルギルス
固形癌
リンパ腫
関節リウマチ
SLE
強皮症
シェーグレン症候群
自己免疫性肝炎
PSC
PBC
潰瘍性大腸炎
クローン病
抗GMP抗体関連疾患
特発性間質性肺炎
ヒドララジン
ミノサイクリン
ブロピルチオウラシル
2024年7月28日 | カテゴリー:関節リウマチ リウマチ外来, 膠原病 |