sweet症候群
スイート症候群は、1964年にイギリスの医師ロバート・スイート博士によって初めて報告された比較的稀な皮膚疾患です。 主な症状は、体の一部、特に上肢や顔、首などに突然現れる発赤した痛みを伴う発疹や結節です。 発熱やだるさといった全身症状を伴うこともあります。 診断基準としては、典型的な皮膚症状に加え、発熱が38度以上あること、血液検査で好中球増多や炎症反応の上昇がみられることなどがあげられます。 皮膚生検で真皮に好中球の浸潤が確認されれば、スイート症候群の可能性がさらに高まります。
Sweet病(スウィートびょう)は、発熱、末梢好中球増加、好中球浸潤性紅斑を三徴とする疾患である[1]。好中球性皮膚症ともいう。上気道感染を起こした後に四肢、顔面に暗赤色の隆起局面が単発、多発する。関節リウマチをはじめ自己免疫性疾患や、骨髄異形成症候群(MDS)や白血病といった血液腫瘍を合併することが多く、デルマドロームの一つと考えられている。
Sweet病では皮膚のみならず様々な臓器に炎症性の病変が生じることが知られており、脳炎や髄膜炎を併発した場合は神経Sweet病(neuro-Sweet disease)と呼ばれ[2]、ステロイド系抗炎症薬の投与で良好な経過をとることが多いとされる。
ヒト白血球型抗原(HLA)のタイプでB54とCw1の頻度が際立って高いことなどが知られているが[2]、これらを含む複数の危険因子が発症に関与していることが示唆されている[3]。類縁疾患である神経ベーチェット病(neuro-Behçet’s disease)とは頻度の多いHLAは異なるが(B51)、他の危険因子を共有する一つの疾患スペクトラムを構成していると考えられている[3]。
副項目の臨床・検査所見として,①38℃以上の発熱,②血液系あるいは固型悪性腫瘍,炎症性疾患あるいは妊娠などの基礎疾患に合併,または上気道あるいは消化器系の感染症あるいはワクチン接種に続発する,③副腎皮質ステロイドあるいはヨウ化カリウムの全身投与が奏効する,④20mm/時以上の血沈亢進,CRP陽性,8000/mm3以上の白血球増多,好中球70%以上のうち3項目以上の臨床検査値異常,のうち2つ以上陽性で診断するとの基準が1994年に提唱されたが,これを満たさない症例も多く,様々な改良案が提案されている。わが国では,①発熱,②先行する上気道感染症または基礎疾患の存在,③好中球を主体とする末梢血白血球増多,④CRP陽性または血沈亢進,のうち2つ以上陽性で診断する溝口の基準が広く知られている。
また病態から,特発性のほか,感染症や炎症性腸疾患,妊娠に伴う「古典型」,血液系あるいは固型悪性腫瘍に伴う「悪性腫瘍随伴型」,G-CSFやボルテゾミブなどの薬剤使用に伴う「薬剤誘発型」にわけられる。
皮膚に好中球浸潤を認める疾患として持久性隆起性紅斑,壊疽性膿皮症,蕁麻疹様血管炎,結節性紅斑,ベーチェット病,さらに多型紅斑や皮膚エリテマトーデスなどを鑑別する必要がある。Sweet病では,ベーチェット病にみられる血管炎や血栓を伴う皮膚症状や典型的なぶどう膜炎はみられない。HLA-B51陰性でCw1またはB54陽性であることも鑑別の一助となる。
2024年10月24日 | カテゴリー:関節リウマチ リウマチ外来, 脳神経系疾患, 皮膚科的疾患, 白血球異常 白血病・骨髄異形成症候群, 免疫疾患 |