リウマチ・膠原病などの病気のしくみについて/リウマチ学会より
A:免疫は、ウイルスや細菌などのさまざまな病原体から体を防御するためのしくみであり、生まれた時から備わっている「自然免疫」と、後天的に身につく「獲得免疫」があります。私たちが健康でいるためには、「自然免疫」と「獲得免疫」のどちらも欠かせない働きを担っています。以下にそれぞれを説明します。
【自然免疫】
自然免疫は、あらゆる生物がもつ基本的なシステムであり、体に病原体などの異物(非自己)が侵入した時にいち早く反応して排除するしくみです。具体的には、マクロファージや好中球といった細胞が細菌などの病原体を食べることで処理します(貪食作用)。さらに、マクロファージや樹状細胞といった細胞は、貪食した遺物(抗原)の情報を免疫の司令塔であるT細胞へと伝達すること(抗原提示)により獲得免疫を活性化させます。その他、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)などは体内を巡回し、がん細胞やウイルスに感染した細胞を除去する役割を担います。このように、自然免疫はさまざまな異物に素早く対応することが特徴で、たとえば風邪をひいた時に薬を飲まなくても自然に治るのは自然免疫が働いているためです。
【獲得免疫】
獲得免疫は、一度侵入した病原体の情報を記憶するシステムであり、再び侵入された時に素早く対処して病原体を効率的に排除する役割を担います。獲得免疫は、自然免疫のように生まれながらに備わっているものではありません。たとえば、はしかなどのウイルスに一度感染して回復すると、体内に抗体ができて、同じ病気にはかかりにくくなったり、もう一度かかっても治りが早くなるのは、獲得免疫の働きによるものです。ワクチンもこの仕組みを利用しています。具体的には、抗原を貪食したマクロファージや樹状細胞がリンパ節へ行って、ヘルパーT細胞へ病原体が侵入したことを伝達します。そして、伝達を受けたヘルパーT細胞はB細胞を成熟させて抗体を作らせるなど免疫の司令塔として働きます。B細胞は最終的に形質細胞と呼ばれる細胞になり、抗体を量産するとともに異物を攻撃して自然免疫を助ける役割も担っています。
2024年7月17日 | カテゴリー:関節リウマチ リウマチ外来 |