めまいについて/NO2
めまいは、目が回るようなくらくらとした感覚の総称である。眩暈・目眩・眩冒・卒倒[1]などと書く。
眩は目がかすみ、目の前が暗くなることで暈はぐるぐる物が回ってみえたり、物が揺れ動いて見えること。目眩は目がかすみ頭がくらくらすること。眩冒はひどく頭がくらくらして目の前が暗くなることとなる。
単にめまいと言われたとき、人によって表現したい現象が異なっていることがめまいの特徴である(=様々な症候を示している)。
医学的には視覚、平衡感覚と固有受容性感覚 proprioceptive senseとの間の不統合によって感じる感覚と言われている。一般的には耳鼻咽喉科学の領域とされる。運動失調とは区別が必要である
分類
症候学的には以下の4種類に分類できる。
- 回転性めまい(vertigo)
- 自分の身体または大地があたかも回転しているかのような感覚。激しい嘔気を感じることがあり、体のバランスを失って倒れることもある。三半規管、前庭神経、脳幹の異常など前庭神経核より末梢の障害で生じる。大抵は耳の障害で生じる。
- 浮動性めまい(dizziness)
- よろめくような、非回転性のふらつき感。回転性めまいの回復期や脳幹、小脳の異常、高血圧などで生じる。大抵は中枢神経や高血圧で生じる。
- 立ちくらみ(faintness)
- 血の気が引き、意識の遠くなる感覚。実際に失神(syncope; シンコピー)に至ることもある。起立性低血圧の代表的な症状であるほか、アダムス・ストークス症候群, 血管迷走神経反射、器質的心疾患・大血管疾患でもみられる。
- 平衡機能障害(dysequilibrium)
- 立ち上がったり起き上がったりした時に、身体が傾いてしまう感覚。反射系と中枢系の連携障害、体平衡系の異常によって起こる。
問診によって上記4つに眩暈を分類することで原因をある程度絞り込むことができる。眩暈を起こす原因疾患は大雑把には神経系、循環器系、全身性の3つがあり、回転性めまいでは神経系に原因があり、失神では循環器系、浮遊感ではその両方の可能性がある。また薬の副作用などで生じる場合は全身性である。
BPPV(良性発作性頭位めまい症)>>回転性めまいのひとつ
良性発作性頭位めまい症は加齢や外傷によって前庭の耳石器が遊離し、三半規管に迷入することによって回転性めまいが生じる病態である。一度耳石が三半規管に入り込むとクプラがつっかえとなり治らなくなる場合がある。こうなったばあいはBPPVと診断される。
診断はDix-Hallpike Test(ディックスホールパイクテスト)である。このテストでは患側が下になった場合のみめまいがおこる。そして体動によってめまいが増悪し、時間経過とともに消失する。患側が上の場合はクプラがストッパーになりめまいは誘発されない。治療はEpley法(エプレイ法)等めまい体操を指導に基づいて行うことである[3]。これは遊離した耳石を三半規管を巡らせて前庭に再配置させる方法である。成功すればめまいの根治となるが急性期では悪心、嘔吐を誘発するので行わない方がよいといわれている。よく訓練された医師が行えば80%は根治可能であるが3回ほど行っても改善が見られなければ専門医に相談するべきである。
前庭神経炎はBPPVと異なり1か月ほどめまいが持続するのが特徴だが初回の大発作時に受診した場合BPPV様の経過をとることも知られている。また小脳梗塞や脳幹梗塞でもBPPV様の経過をとることがある。一般内科医などでの診療には限界があり神経内科か耳鼻科の受診を勧めている
一過性血圧高値>>不動性めまいのひとつ
一過性血圧高値とは浮遊感や後頭部頭重感による受診が多い。バイタルサインでクッシング反射(血圧が上昇しているが徐脈であること、これは脳圧亢進している兆候である)がなく、神経学的診察で脳血管性が否定的となったときに疑う。かつてはニフェジピンの内服によって降圧を行ったが現在は緊急時以外は血圧を降下させる必要はないと考えられている。血圧を降下させたい場合はフロセミド(20mg)を1T内服やエチゾラム(0.5mg)を1T内服とし、後日内科の受診を勧める。
起立性低血圧(きりつせいていけつあつ、英: orthostatic hypotension)は、低血圧の一種で、安静臥床後起立した際に血圧の低下(一般的には起立後3分以内に収縮期血圧で20mmHg以上、拡張期血圧で10mmHg以上の低下[1])が見られるもの をいう。急に立ち上がった時に起こる症状として、ふらつき、めまい、頭痛、複視または視野狭窄・眼前暗黒感、四肢あるいは全身のしびれ(異常感覚)、気が遠くなるなどで、まれに血管迷走神経反射性失神を起こすこともある。すべて血圧維持が不充分なために脳血液灌流量が不足する結果起こる症状である。
2つに大別される[2]。
- 本態性(非神経原性)
- 薬剤性起立性低血圧
- 症候性(神経原性)
- 特発性自律神経障害
- 二次性自律神経障害
2024年9月9日 | カテゴリー:外科/耳鼻科/眼科的疾患, 各種病因学, 循環器 |