洞調律について
洞調律(サイナスリズム)は、心臓の洞結節(サイノアトリアルノード)によって生成される規則的な心拍リズムです。洞結節は右心房の上部に位置し、心臓のペースメーカーとして機能します。以下は洞調律を作る細胞生物学的な機序の概要です:
自動能: 洞結節の細胞は自発的に活動電位を発生させる能力を持っています。この自動能は、特定のイオンチャネルの活動によって維持されます。主なイオンチャネルには、遅延整流カリウム電流(IKs、IKr)、過分極活性化内向き電流(If)、T型カルシウムチャネル電流(ICa,T)などがあります12。
活動電位の発生: 洞結節細胞は、静止膜電位が-60mVから-40mVの範囲で、ゆっくりと脱分極します。この脱分極は、Ifチャネルを介してナトリウムイオンが細胞内に流入することによって引き起こされます。続いて、カルシウムチャネルが開き、カルシウムイオンが細胞内に流入することで、活動電位が発生します12。
再分極: 活動電位のピークに達すると、カリウムチャネルが開き、カリウムイオンが細胞外に流出することで再分極が起こります。この過程により、細胞は再び静止膜電位に戻ります12。
自律神経の影響: 洞結節の活動は自律神経系によって調節されます。交感神経は洞結節の活動を促進し、心拍数を増加させます。一方、副交感神経は洞結節の活動を抑制し、心拍数を減少させます12。
これらのメカニズムが協調して働くことで、洞結節は規則的な心拍リズムを生成し、心臓全体の拍動を制御しています。
2024年8月7日 | カテゴリー:循環器 |