硫酸マグネシウムについて
硫酸マグネシウム(りゅうさんマグネシウム、英: magnesium sulfate)は化学式 MgSO4 で表される硫酸とマグネシウムの塩。硫酸塩マグネシウム、エプソム塩(エプソムソルト)とも呼ばれる。
7水和物は無色粉末で、70 ℃ で1水和物、200 ℃ で無水物となり、1124 ℃ で分解する。水に易溶、エタノールに微溶。無水物は吸湿性のある白色結晶性粉末で、水分と反応し発熱する。融点1185℃。
温泉の一形態である硫酸塩泉に、硫酸ナトリウムとともに含まれている。
市販されている多くの入浴剤の有効成分は硫酸マグネシウムと炭酸水素ナトリウムである。硫酸マグネシウムには体を温める温浴効果があるので、冬用のものに特に多く配合されている。豆腐の凝固剤として使われているにがりにも少量含まれている。天日干しで製造される塩にも含まれており、精製塩にはない独特の風味を醸す一要素となっている。
医薬品として、便秘症、胆石症、低マグネシウム血症、子癇、頻脈性不整脈に対して用いられる。
天然では主に7水和物として存在し、鉱物としては英: Epsomite(和名では瀉利塩、あるいは英名をそのままエプソマイトと呼ぶ)、薬品としては硫苦と呼ばれる。他に6水和物のヘキサハイドライトや、より珍しいほかの水和物も存在する。
効能または効果
用法及び用量
<経口>
便秘症には、硫酸マグネシウム水和物として1回5〜15gを多量の水とともに経口投与する。
<注入>
胆石症には、25〜50%溶液20〜50mLを十二指腸ゾンデで注入する。
<注射>
低マグネシウム血症には、硫酸マグネシウム水和物として、通常成人1日2〜4gを数回に分けて筋肉内注射あるいは極めて徐々に静脈内注射し、血中マグネシウム濃度が正常になるまで継続する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
子癇には、1回10〜25%溶液10〜20mLを筋肉内注射あるいは徐々に静脈内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、増量する場合は注意すること。
頻脈性不整脈には、10%又は25%溶液を徐々に静脈内注射する。その際、硫酸マグネシウム水和物として2.5gを超えないこと。
. 重要な基本的注意
<子癇>
9. 特定の背景を有する患者に関する注意
9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高マグネシウム血症の患者
中枢神経系の抑制と骨格筋弛緩を起こすおそれがある。
9.1.2 心疾患のある患者
心機能を抑制するおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎障害のある患者
中枢神経系の抑制、呼吸麻痺を起こすおそれがある。
9.5 妊婦
<効能共通>
9.5.1 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。マグネシウムイオンは容易に胎盤を通過するため、まれに新生児に高マグネシウム血症を起こすことがある。
<子癇>
9.5.2 妊娠中の投与により、胎児に胎動低下が、新生児に心不全、高カリウム血症、低カルシウム血症があらわれることがある。[8.参照],[10.2参照]
9.5.3 妊娠中に長期投与した場合、出生時において児にくる病様の骨病変が認められることがある(国内の市販後に報告された症例のうち、確認できた母体への硫酸マグネシウム水和物・ブドウ糖(注射剤)の最短の投与期間は18日であった)。
9.7 小児等
9.7.1 腸内寄生虫疾患のある小児
腸管粘膜に異常がある場合に異常吸収を起こすおそれがある。
9.8 高齢者
投与速度を緩徐にし、減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
2024年9月7日 | カテゴリー:各種治療学 |