マイコプラズマについて
マイコプラズマ(ミコプラズマ、Mycoplasma)は、細菌の一属。真核生物を宿主とする寄生生物で、細胞壁をもたず細胞やゲノムが非常に小さいという特徴をもつ。現在、124種と4亜種が登録されている(2015年4月28日現在)[1]。
ゲノムサイズが小さく(55万-140万塩基対程度)、記載種として最小の種を含み、細胞サイズも最小の部類(200-300nm)に入る。TCA回路、脂質合成系、アミノ酸合成経路を欠損しており[2]、大半が合成培地で増殖できず、たいていの場合はステロールやアミノ酸、脂質、核酸など多くの成長因子を必要とする。細胞壁は欠損しており、鞭毛はもたないが、適当な足場があれば滑走を起こす[3]。自然条件では、特定の真核生物(主に脊椎動物)細胞に付着して寄生し、一部は細胞侵入性を有する種も存在する[4]。ただし、実験室レベルでは栄養培地で培養可能な種もある。これらは培地で培養可能な最小の生物と位置づけられている。このように、細菌とウイルスの中間のような性質を持つのが特徴である。
学名は新ラテン語で「菌類のようなもの」という意味をもっている。当初真菌とも思われたので、ギリシア語で「キノコ」を意味する μύκης (mykes:ミュケース)の語幹と、「物」を意味する πλάσμα (plasma:プラスマ)を合成して名付けられた。
- マクロライド系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質がよく用いられる。ケトライド系、リンコマイシン系、ニューキノロン系薬剤も有効である。いずれも7日~10日間の投与が推奨されている。[5]
- 8歳未満の小児ではテトラサイクリン系抗生物質は、原則禁忌である。
- マイコプラズマは細胞壁をもたないので、β-ラクタム系(ペニシリン系、セフェム系)の薬剤は効果がない。
野生におけるマイコプラズマの約15%は薬剤耐性菌(マクロライド耐性菌)と言われている。[6]ただし、マイコプラズマ感染症は自然治癒することもあり、かつ一部のマクロライド系抗菌薬は抗菌作用とは別に、免疫力調整による抗炎症効果も期待されるので、耐性菌であるからといって同薬剤の効果がないとも断定できない。地域でのマクロライド系抗菌薬耐性菌の蔓延が疑われる場合や、同系統抗菌薬の効果が乏しいと判断された場合には、ニューキノロン系抗菌薬も用いられる
2024年8月28日 | カテゴリー:感染症 |