鬱状態とうつ病について
うつ病」と「うつ状態」は似ているようで異なる概念でうつ状態とは?
うつ状態は、 以下の特徴を持つ精神的エネルギーの低下した状態を指します:
- 気分が落ち込んでいる
- 意欲や関心が喪失している
- 疲れが取れない
- 考え方が後ろ向きになっている
- うつ状態は「状態」であり、「病名」ではありません。診断基準は存在しないため、何週間以上続いている必要も症状の数も明確に決まっていません。うつ状態だからといって必ずしもうつ病ではありません。つまり、簡単には心理的にかつ正確的にすぐには対処がきかない状況(多くはストレスと呼ばれる事象)に時間的に切迫して考え込んでしまう状態をさします。
- うつ病は、うつ病疾患が原因でうつ状態を呈している状態です。うまり外的なストレスが存在しなくても内因的に起こる状態です。
- 診断基準上、少なくとも2週間以上症状が持続し、病的意義がある状態つまり日常生活に支障が出ていることが条件です。
- うつ病は抗うつ薬や心理療法などの治療が必要です。
違いと治療方法
- うつ状態は一時的なものであり、正常な反応としても認められます。
- うつ病は脳の病気が原因であり、治療が必要です。
鑑別診断
うつ状態は、次のような原因によって引き起こされます。
正常な落ち込みは生活上の正常な苦痛や苦悩であり、対して、うつ病ではそれが1日のうちほとんど、ほとんど毎日であり「濃く」、機能の障害を起こし重症である。失業、離婚、他の人生の深刻な問題の後に落ち込みが起きていれば、特に軽症の場合には一時的なストレス反応であるかを検討すべきであり、4週間以上観察してもよいといわれています。
DSM-IVでは大うつ病性障害の診断基準Bが他の精神障害ではないことを確認しなさいとの記載があります
- 特定できるストレスが原因となっている状態で例えば、適応障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD) などです。
- パニック障害など、他の障害の症状としてのもの。
- 統合失調症では、気分が正常な時に妄想が生じている。
- 双極性障害。
DSM-IVでは大うつ病エピソードの診断基準Dが、物質あるいは、身体疾患による症状ではないことを要求している。物質の例には、薬物やアルコ-ル乱用、投薬による直接的な生理学的作用としての抑うつが挙げられる。
子どもや思春期では、診断を下すには注意を払い、物質の使用やストレス要因を考慮する。高齢者のような発症が遅い場合には、身体疾患や医薬品の副作用が考慮される。
DSM-5の物質・医薬品誘発性抑うつ障害では、アルコール、精神刺激薬、ステロイド、L-ドーパ、抗生物質、化学療法などが抑うつを誘発しうるとし、一部は症例報告などが根拠であり因果関係の判定が困難なものがある。
2024年6月24日 | カテゴリー:心療内科的疾患 |