CO2ナルコーシス
CO2ナルコーシスとは、体内に二酸化炭素(CO2)が異常に蓄積することで、中枢神経系に影響を及ぼし、意識障害などを引き起こす状態を指します。
主に慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支喘息などの呼吸器疾患を持つ患者に見られます12。
主な症状
- 意識障害: 頭痛、傾眠、昏睡など
- 呼吸抑制: 自発呼吸の減弱
- その他: 発汗、頻脈、血圧上昇など
発生メカニズム
通常、体内のCO2濃度が上昇すると呼吸が促進されますが、慢性的にCO2が高い状態に慣れている患者では、低酸素血症が主な呼吸刺激となります。
このような患者に不用意に酸素を投与すると、呼吸刺激が低下し、CO2がさらに蓄積してしまいます12。
動脈血のPCO2が上昇し、脳脊髄液のpHが低下
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中枢性化学受容体の感度が鈍化しているため、末梢性化学受容体が低酸素を感知
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高二酸化炭素の状態は継続しているため、O2の投与を開始
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呼吸中枢は、「酸素が十分にある」と認識
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呼吸が抑制され、呼吸が停止
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二酸化炭素が貯留し、pHが酸性に傾く
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呼吸性アシドーシスとなり、意識障害が出現
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CO2ナルコーシスが発生する
対応方法
- 予防: 慢性呼吸不全患者には低濃度の酸素投与を行う
- 治療: CO2ナルコーシスが発生した場合は、気道確保や呼吸補助が必要です12。