Bipについて
BiP is a major endoplasmic reticulum (ER) chaperone and is suggested to act as primary sensor in the activation of the unfolded protein response (UPR).
How BiP operates as a molecular chaperone and as an ER stress sensor is unknown.
Here, by reconstituting components of human UPR, ER stress and BiP chaperone systems,
the interaction of BiP with the luminal domains of UPR proteins IRE1 and PERK switch BiP from its chaperone cycle into an ER stress sensor cycle by preventing the binding of its co-chaperones, with loss of ATPase stimulation.
misfolded protein-dependent dissociation of BiP from IRE1 is primed by ATP but not ADP.
BiP(binding immunoglobulin protein)は、ヒトでは HSPA5遺伝子によってコードされるタンパク質である。GRP-78、HSPA5(heat shock 70 kDa protein 5)、Byun1としても知られる[5][6]。
BiPは、小胞体の内腔に位置するHsp70ファミリーの分子シャペロンである。小胞体へ移行してきた新生タンパク質に結合し、それらをその後のフォールティングやオリゴマー化が可能な状態に維持する。また、BiPは小胞体の移行装置の必須の構成要素でもあり、異常タンパク質のプロテアソーム分解へ向けた小胞体への逆行性輸送に役割を果たす。BiPはすべての生育条件で豊富にみられるタンパク質であるが、フォールディングしていないポリペプチドが小胞体に蓄積する条件下では合成が顕著に誘導される。
構造
BiPは、ヌクレオチド結合ドメイン(NBD)と基質結合ドメイン(SBD)という2つの機能的ドメインを含んでいる。NBDはATPを結合して加水分解し、SBDはポリペプチドを結合する[7]。
NBDは2つの大きな球状サブドメイン(I、II)から構成され、さらにそのそれぞれが2つの小さなサブドメイン(A、B)へと分割される。サブドメイン間には溝があり、そこへヌクレオチド、1つのMg2+イオン、2つのK+イオンが結合して4つのドメイン(IA、IB、IIA、IIB)すべてが連結される[8][9][10]。SBDは、SBDβとSBDαという2つのサブドメインへと分割される。SBDβは基質タンパク質またはペプチドの結合ポケットとして機能し、SBDαは結合ポケットを覆うαヘリックスからなる蓋として機能する[11][12][13]。ドメイン間リンカーはNBDとSBDを連結し、NBD-SBD相互作用面の形成を促進する[7]。
機構
BiPの活性は、アロステリックなATPアーゼサイクルによって調節されている。ATPがNBDに結合するとSBDαの蓋が開き、SBDは基質との親和性が低いコンフォメーションとなる。ATPの加水分解に伴ってADPがNBDに結合し、蓋が結合した基質の上に閉じる。これによって基質は解離速度が低下し高い親和性での結合を行い、基質の尚早なフォールディングや凝集が防がれる。ADPがATPへの交換されるとSBDαの蓋が開いて基質が放出され、基質は自由にフォールディングを行うようになる[14][15][16]。ATPアーゼサイクルは、プロテインジスルフィドイソメラーゼ[17]やコシャペロン[18]によって相乗的に加速される。
機能
細胞がグルコース飢餓にさらされると、グルコース調節タンパク質(glucose-regulated protein、GRP)と呼ばれるいくつかのタンパク質の合成が顕著に上昇する。GRP78(HSPA5)はBiPとも呼ばれ、Hsp70ファミリーのメンバーであり小胞体でのタンパク質のフォールディングや組み立てに関与する[6]。BiPのレベルは、小胞体内の分泌タンパク質(IgGなど)の量と強く相関している[19]。
BiPによる基質の解離と結合は、新生タンパク質のフォールディングや組み立て、誤ってフォールディングしたタンパク質の凝集の防止、分泌タンパク質の移行、小胞体ストレス応答(unfolded protein response、UPR)の開始など、小胞体での多様な機能を促進する。
タンパク質のフォールディングと保持
BiPは能動的に基質をフォールディングする(フォールダーゼ、または単に結合して基質がフォールディングや凝集するのを防ぐ(ホルダーゼ)。フォールダーゼとして機能するには、完全なATPアーゼ活性とペプチド結合活性が必要である。ATPアーゼ活性に欠陥のある温度感受性変異体(クラスI変異と呼ばれる)とペプチド結合活性に欠陥のある変異体(クラスII変異と呼ばれる)は、どちらも非許容温度下ではカルボキシペプチダーゼY(CPY)を正しくフォールディングすることができない[20]。
小胞体への移行
BiPは小胞体の分子シャペロンとして機能し、小胞体内腔や小胞体膜へのATP依存的なポリペプチドの取り込みに必要である。ATPアーゼ活性変異体は、多数のタンパク質(インベルターゼ、カルボキシペプチダーゼY、α-接合因子)の小胞体内腔への移行の妨げとなることが判明している[21][22][23]。
小胞体関連分解
BiPは小胞体関連分解(ERAD)にも役割を果たす。最もよく研究されているERADの基質は、常に誤ったフォールディングを行い、完全に小胞体へ移行しグリコシル化修飾を受けるCPY(CPY*)である。BiPはCPY*と接触する最初のシャペロンで、CPY*の分解に必要とされる[24]。BiPのATPアーゼ活性変異(アロステリック変異も含む)によって、CPY*の分解速度が大きく低下することが示されている[25][26]。
小胞体ストレス応答経路
BiPはUPRの標的であるとともに、UPR経路に必須の調節因子でもある[27][28]。小胞体ストレス下では、BiPは3つのシグナル伝達因子(IRE1、PERK、ATF6)から解離し、効率的にそれぞれのUPR経路を活性化する[29]。BiPはUPRの標的遺伝子の産物であり、UPR転写因子がBiPの遺伝子DNAのプロモーター領域のUPRエレメントに結合することでアップレギュレーションされる[30]。
相互作用
BiPのATPaseサイクルは、ADPの解離の際にATPの結合を促進するヌクレオチド交換因子と、ATPの加水分解を促進するJタンパク質の双方のコシャペロンによって促進される[18]。
BiPは真核生物の間で高度に保存されており、それには哺乳類も含まれる(表1)。また、ヒトではBiPはすべての組織で広く発現している[31]。ヒトのBiPには2つの高度に保存されたシステイン残基が存在する。これらのシステイン残基は酵母と哺乳類細胞の双方で翻訳後修飾を受けることが示されている[32][33][34]。酵母細胞では、N末端側のメチオニンは酸化ストレスによってスルフェニル化とグルタチオン化されることが示されている。どちらの修飾も、BiPのタンパク質凝集を防ぐ能力を向上させる[32][33]。マウスの細胞では、保存されたシステインのペアはGPX7(NPGPx)の活性化に伴ってジスルフィド結合を形成する。ジスルフィド結合はBiPの変性タンパク質への結合を向上させる[35]。
2024年8月22日 | カテゴリー:各種病因学, 基礎知識/物理学、統計学、有機化学、数学、英語 |