NADPHオキシダ-ゼ、とくに食細胞において
ROS/活性酸素(O2-,・OH、H2O2など)は細胞がさまざまなストレスを受けたとき産生され障害となるが、食細胞ではNADPHオキシダ-ゼを用いてROSを産生し微生物を殺菌する。生体防御に活用している。そのためNADPHオキシダ-ゼは厳密に制御されている。
NADPHオキシダ-ゼは次の式を触媒する
NADPH +2O2>>>NADP+ + O2- + H+
食細胞においてはミクロソ-ム内にO2-が産生されるとO2-は不均化反応に反応によりH2O2になりさらにMPOによってHOClとなる
NADPHオキシダーゼは膜結合酵素複合体であり細胞膜や食胞膜上で見られる。
6個のサブユニットから構成される。
NADPHオキシダーゼは動脈硬化症の主な原因である。動脈硬化は、コレステロールを蓄えたマクロファージ(泡沫細胞)が血管内膜に集積することで起こる。NADPHオキシダーゼは活性酸素を生産し、アクチンを重合させることでマクロファージを血管壁に接着する。これはNADPHオキシダーゼ阻害剤や抗酸化物質で相殺される。In vitro研究では、NADPHオキシダーゼ阻害剤と抗酸化物質(N-アセチルシステイン、レスベラトロール等)を共に用いることで、アクチンの脱重合が促され泡沫細胞が内膜から剥がれやすくなることが示された。[1][2]
NADPHオキシダーゼサブユニット遺伝子の変異は、様々な慢性肉芽腫症(Chronic granulomatous disease CGD)を引き起こす。
ある研究では、ケタミンに誘発される、神経細胞でのパルブアルブミンとGAD67の消失にNADPHオキシダーゼが関わることが示唆された。[3]同じようなことが統合失調症患者でも見られるため、この疾患にもNADPHオキシダーゼが関わっている可能性がある。[4]ホルマザン色素であるニトロブルーテトラゾリウムは慢性肉芽腫症の診断に用いられ、青色が強いほど細胞の活性酸素生産能が高いことになる。
NADPHオキシダーゼはアポシニンやDPI(diphenylene iodonium)で阻害される。アポシニンはNADPHオキシダーゼサブユニットの集合を妨げる。マウスのin vivo研究により、アポシニンによるNADPHオキシダーゼの阻害は、インフルエンザ性肺炎を軽減することが示された。[5]
2024年6月5日 | カテゴリー:創薬/AUTODOCK |