生体内活性酸素類/酸化ストレスについて
呼吸して得る酸素の95%は最終的には水か二酸化炭素に還元される
残りの5%はミトコンドリアやミクロソ-ムの電子伝達系などで完全には還元されずに
活性酸素種となる
主なものはO2-のスーパ-オキシド と H2O2の過酸化水素 と ・OHのヒドロキシラジカルである
細胞はこれらに対して消去システムを備えていて
SOD,XO,CAT,MPO、GPX,GR,TR,PRXなどの酵素群を持っている
O2からH2O2までの経路とH2O2から水への経路は2つある
また白血球ではH2O2を使って殺菌のためにHOClとHO-を作っている
H2O2>H2Oの2つの経路のうち1つはGPX/グルタチオンぺルオキシダ-ゼを使う経路で
もう一つはCAT/カタラ-ゼを使う経路である
LOOHについて
LOOHはその生成機構(ラジカル酸化、一重項酸素酸化、酵素酸化)
によって、生成する異性体の種類および生成量が異なることが知られている。
ラジカル酸化は、不飽和脂質の二重結合にはさまれたメチ
レン水素(二重アリル水素)からの水素の引き抜きにより開始する(Fig. 3)。
例えば、リノール酸では、11位のメチレン水素の選択的脱離とペンタジエン共
鳴により13-hydroperxyoctadeca-9Z,11E-dienoic acid、
13-hydroperxyoctadeca-9E,11E-dienoic acid、
9-hydroperxyoctadeca-10E,12Z-dienoic acid、
9-hydroperxyoctadeca-10E,12E-dienoic acid の 4 種類が等量生じる。一重項酸
素と脂質の反応では、一重項酸素が二重結合に親電子付加し、アリル水素の転- 4 -
位と二重結合のトランス移動を伴う(Fig. 4)。つまり、リノール酸との反応で
は、9-位および12-位の二重結合を形成する炭素に酸素分子が直接結合するため、
13-hydroperxyoctadeca-9Z,11E-dienoic acid、
12-hydroperxyoctadeca-13E,9Z-dienoic acid、
10-hydroperxyoctadeca-8E,12Z-dienoic acid、
9-hydroperxyoctadeca-10E,12Z-dienoic acid の 4 種の異性体が等しく生じる。
代表的な酸素添加酵素であるLOXはcis, cis-1,4-ペンタジエン構造をもつ多価
不飽和脂肪酸に分子状酸素を添加する酵素であり、酸素挿入部位の違いにより
15-LOX や 5-LOX などが存在する。リノール酸と15-LOXの反応では
13-hydroperxyoctadeca-9Z,11E-dienoic acid が、5-LOX との反応では
9-hydroperxyoctadeca-10E,12Z-dienoic acid がそれぞれ特異的に生成する。
H2O2>>H2Oにおける反応は、GSH(還元型グルタチオン)>>>GSSG(酸化型グルタチオン)
LOOH>>>LOH + H2O と共役してグルタチオンペルオキシダーゼ/GPXのもと進む
上図はグルタチオンの結晶と化学式
2024年5月27日 | カテゴリー:癌の病態生理と治療学, 創薬/AUTODOCK |