SCCについて
SCC抗原は子宮頸癌で発見された蛋白質で、子宮頸癌、外陰・膣癌、肺癌、食道癌、頭頸部癌、皮膚癌、口腔・舌・上顎癌など多くの扁平上皮癌で陽性となります。
初期癌での陽性率は低く、早期発見を目的としたスクリーニングには適しませんが、SCC抗原の血中濃度半減期は極めて短く、病状変化に伴う変動が速やかで治療の効果判定に有用です。また再発例では臨床症状の現れる数週間前に血中濃度が上昇することが多く、再発・再燃のモニタリングに有用です。
SCC抗原は正常な扁平上皮にも存在しているため、アトピー性皮膚炎や天疱瘡、乾癬などの皮膚疾患、気管支喘息や気管支炎、肺炎、結核などの肺疾患、腎不全、透析患者、長年の喫煙者などでも陽性となります。さらに、SCC抗原は肝細胞や胸腺細胞にも発現するため、肝炎、肝硬変、胸腺腫瘍でも陽性となります。
ただし、同一個人でも約25%の日差変動を示すので、軽度上昇を評価する際は注意が必要です。2回以上連続して上昇する場合は病状の悪化を疑います。
また、皮膚表面や汗、唾液にも大量に存在するため、採血の際は複数回の穿刺による組織液の混入には気をつけ、測定にあたっては検体の取扱いに十分注意します。
表.各種疾患における陽性率 | ||||||||
| ||||||||
〔参考〕石井 勝;腫瘍マーカーハンドブック、2009
|
2024年8月13日 | カテゴリー:がん検診, 癌の病態生理と治療学 |