縦郭腫瘍について
縦郭は左右の肺の間にある胸部内の空間で、胸腺、心臓、大血管、食道、気管が位置している場所でそこにある腫瘍を縦郭腫瘍といいます。
縦隔腫瘍は良性と悪性の両方があり、それぞれの区画によって発生しやすい腫瘍が異なります。
- 縦隔の区画と腫瘍の種類:
- 上縦隔: 甲状腺腫、食道がん
- 前縦隔: 胸腺腫、胸腺がん、胸腺のう胞、奇形腫、胚細胞腫瘍、
- 中縦隔: 悪性リンパ腫、心膜のう胞、気管支のう胞など
- 後縦隔: 神経鞘腫、大動脈拡大
- 最も多い縦隔腫瘍は前縦隔に発生しやすい「胸腺腫」です。
- 症状:
- 良性の初期や一部の良性腫瘍は無症状ですが、大きい腫瘍や悪性腫瘍では胸の圧迫感、痛み、息苦しさ、咳、声のかすれなどが現れることがあります。背中の肩甲骨の間が凝った様な重たい感じを訴えることもよく経験します
日本胸部外科学会(2013年)の学術調査によると、縦隔腫瘍に対する手術数4780例のうち、胸腺腫や胸腺がんといった胸腺上皮性腫瘍が2230例(47%)と約半数を占めています。
縦隔膿瘍(じゅうかくのうよう)は、縦隔が細菌に感染して起こる病気です。
- 症状:
- 縦隔膿瘍は、縦隔に起こった炎症や腫瘍によって、急性の場合は高熱や悪寒を発症します。胸痛も特徴的です。
- 放置すると、細菌が血液中に入り込み、敗血症を引き起こす可能性があります。
- 高熱ではなく37度くらいの不明熱など
- 原因:
- 誤って飲み込んだ魚の骨や入れ歯、胃カメラなどによる損傷により細菌感染が起こることがあります。また、食道がんなどの腫瘍により食道に穴があくことも原因となります。
- 検査と治療:
- 胸部X線写真やCT検査で縦隔に膿が溜まっているかどうかを調べます。